ドイツの共益費 (Nebenkosten / Betriebskosten) は、単なる管理費ではなく「変動する実費の前払い」という性質が強いのが特徴です。入居後に慌てないよう、含まれる項目と精算のルールを正しく理解しておきましょう。
1. 共益費に含まれるもの・含まれないもの
9割以上の物件において、共益費には「電気代」「インターネット代」「放送受信料(GEZ)」は含まれません。これらは個人で電力会社や通信会社と直接契約する必要があります。
- 共益費に含まれる主な項目: 暖房費、上下水道代、ゴミ処理費、建物管理費、地価税、共有部の清掃・照明費など。
【注釈:Pauschalmiete(込み込み定額家賃)について】
家具付き物件中に見られる「Pauschalmiete(パウシャルミーテ)」の場合は、毎年の事後精算がなく、かつ電気・ネット代、さらには物件によっては放送受信料(GEZ) まで含まれることがあります。精算の手間がない分、大家側のリスクバッファーが含まれるため、月額家賃は割高に設定される傾向があります。
2. 「前払い」と「1年ごとの精算」ルール
上記注釈の込み込み定額(Pauschal)契約を除き、毎月の共益費はあくまで「推定値の前払い(Vorauszahlung)」です。
- 算出方法: 前の入居者の実績、物件の平米数、入居人数などから算出されます。
- 精算のタイミング: 1年間の実費を計算し、翌年の下半期に精算が行われます。法人管理物件の場合、翌年12月(約1年後)になることも珍しくありません。
- 還付と追加支払い: 実費が前払い額を下回れば返金されますが、上回った場合は不足分を一括で支払う必要があります。
3. 日本人家庭が注意すべきポイント
ドイツの暖房や給湯システムはコストが高く、日本と同じ感覚で使用すると多額の追加支払いが発生するケースが多々あります。
- 暖房(Heizung): ドイツの標準的な室内温度は20度前後です(特に使わない部屋はカビが生えない範囲でもう少し低めに設定するべき)。これを超えて設定し続けると、冬場の暖房費が跳ね上がります。
- お湯の使用量: 毎日お風呂にお湯を溜める習慣がある場合、想定以上の水道・給湯代がかかることがあります。
- エネルギー価格の影響: 近年のエネルギー価格高騰により、1年後の精算時に「数千ユーロの請求」が来るケースも報告されています。日頃から節約を意識することが、最大の自衛策となります。