住宅マーケット 概況
ドイツの主要都市の賃料は、年間5-10% の上昇が続いております。他の主要国とは違って、バブル的な大きな上昇はなく、2020年のコロナ禍で一時的な落ち込みがあったものの2021年には揺り戻し、コンスタントに値上がりを続けています。
ミュンヘンに次いで家賃の高いフランクフルト。中世時代から見本市が開催されていた歴史があり、それに伴って金融や物流サービスが発達してきました。欧州中央銀行をはじめとする金融業を主に、電機、機械、流通など世界中から大企業が集まっています。
欧州のハブ空港であるフランクフルト空港には日本からの直行便が就航し、また欧州最大規模のカーゴ倉庫があります。こういった点からフランクフルトは欧州におけるビジネスの基点となる都市と言えるでしょう。
フランクフルトにおけるアパート空室率は非常に低く、慢性的に深刻な住宅不足にあります。理由として、ギリシャ危機に際して欧州中央銀行の機能拡張に伴う増員、Brexitの影響による金融業への大規模な人材流入があげられます。
新興住宅地であるリードベルク(Riedberg)やオイローパフィアテル(Europaviertel)地区等には新しい設備を備えた新築マンションが多くありますが、築年数が古く内装に特徴のある「Altbau」(アルトバウ:第二次世界大戦前に建てられた旧建築家屋 )も依然と多く、モダンとレトロが混在している様も見受けられます。
市内では、1㎡の家賃は平均すると17.33€(2022年)となりますが、駐在員が住める安全性と利便性を兼ね備えた地域では平均値よりも高くなっています。
フランクフルト郊外のマイン・タウヌス地域は緑豊かで、庭付きの戸建てなどゆったりと住める家も多いため現地の人にも人気があり、郊外に住んで市内に通勤するパターンも多くあります。Sバーン(近郊電車)やUバーン(地下鉄)網が発達しているため通勤至便と言えるでしょう。
代表的な住居エリア
Bockenheim, Gallus, Westend, Hausen は日本人学校やインターナショナルスクールとの交通の便がよく、特に日本人に人気があります。近年開発の進んでいる Riedberg 地区も人気が出始めています。
Bockenheim (ボッケンハイム)
フランクフルトの北西地域にあり日本人学校エリアに近接した広いエリアです。市内、郊外への交通の便もよく、自然博物館や植物園があり、商業施設やレストランも多いため活気のある人気地域です。
Gallus/Europaviertel(ガルス/オイローパフィアテル)
マイン川の北にあり、東に中央駅の市区があります。
再開発が進み、昔のガルスのイメージは薄れています。フランクフルトの中心に位置し、大きなショッピングモールがあり、大企業のオフィスや新築マンションが多く建ち並ぶモダンな市区として人気があります。
Westend Nord/Süd (ヴェストエンド 北・南)
中心街に近いですが静かな住宅街であり、金融機関の本社も多くあります。
高級レストランからお洒落なカフェまで様々な施設があります。アパートは新築と古くからある旧タイプが混在しています。
Hausen(ハウゼン)
フランクフルトの北西に位置し、日本人学校、日本食レストランやスーパーがあるため日本人に人気の市区です。新築マンションは少なく、エレベーターや駐車場のない古い建物が目立ちます。人種が混在しており、日本人の居住エリアの家賃は平均より高くなっています。
Sachsenhausen Nord/Süd (ザクセンハウゼン 北・南)
マイン川の南側、アップルワインで有名なザクセンハウゼン地区も居住エリアとして人気です。美術館や博物館が並ぶマイン川岸沿い、旧市街地にはアップルワイン酒場が軒を連ねています。
Riedberg(リードベルク)
中心地から北の方へ Uバーン(地下鉄)で15分ほどの新興住宅地です。新しい住居や商業施設が次々と建てられています。現地校(小学校、ギムナジウム)の質にも定評があります。
家具情報
ドイツの物件の多くには家具はついておりません。キッチンのない物件も全体の1割~2割程度あり、自分で購入し設置しなければなりません。
家具付きの物件は全体の1割~2割程度になります。また一般的に物件に照明器具はついていません。弊社では照明器具の取り付けサービスを有償にて提供しています。
また、住居に合った家具、家電のお買い物アドバイスも行っておりますのでお気軽にご相談ください。
住宅慣習
○仲介手数料:業法で賃料の2か月分と定められています。(一部例外もあり)
○保証金(敷金):賃料の3ヶ月分。
○契約年数:1~2年の解約不可能期間が定められていることがあります。
○契約方法:申込後に入居審査。入居審査に通ると契約になります。
○解約方法:3ヶ月前までに書面での通知。
〇GEZ:ラジオ・テレビ受信料として支払うことが法で定められています。
〇共益費:アパートの共益費には水道費、暖房費が含まれるのが一般的です。電気やインターネットは別途、個人契約となります。
その他の情報
フランクフルトには在フランクフルト日本国総領事館があり、ヘッセン州、ラインラント・プファルツ州、ザールラント州を管轄しています。
フランクフルトに本拠地を置く日本の企業は約200社あり、日本人の人口は、在フランクフルト日本国総領事館のカバーしている3州の邦人が6000人という数字から類推しますと、フランクフルト都市圏では5000人は居住があるのではないかと推測されます。
その他、日本人に関係する施設も多くあります。
- 日本人学校・日本人幼稚園(ハウゼン地区)
- 日本文化センター(ドイツ語の授業、ワークショップ等の開催)
- フランクフルト独日協会、フランクフルト日本法人会、税理士、弁護士、食料品店、飲食店等
- 日本語の通じる(通訳がいる)内科、産婦人科、歯科、小児科等