ドイツで洗濯機を買う方法
洗濯機や乾燥機は、SATURN か MediaMarkt という大手二社(実は同一グループ)のどちらかのオンラインサイトで買うのが一般です。後述のように配送と取り付けサービスを選ぶことができます(店頭で買っても配送・取り付けは依頼できます)。
以下の画面のように左側で検索条件でフィルターをかけることができます。
検索のポイント
- メーカーですが、当社のお客様ではドイツか韓国のメーカー・SIEMENS, Bosch, Samsung, LG を選ばれることが多くなっております。日系では意外に Sharp 製がリーズナブルな価格で出ていることがあります。
- お値段ですが、洗濯機・乾燥機ともに 500ユーロ台のものを買うお客様が多いようです。
- Verfügbarkeit(入手可能性)のオプションがあって、上の検索では sofort lieferbar(即配達可能)を選んでいます(写真の黄色い囲み)。
- 洗濯重量は、洗濯される頻度と量によりますが、洗濯機の場合でご家族用は 8kg 前後以上、ご単身であれば 6kg ぐらいでも足りることが多いようです。
- 大きさですが、上に乾燥機を乗せる場合は、縦と横の幅が気になるところです。しかし、一般にはほとんどの機種が縦横ともに 60cm 前後になっていますので、あまり問題になることはありません。
(ご参考)
ご家族向けの洗濯機検索例:リンク(2024年11月現在)
個別商品の欄では入手可能性が出ています(上の写真で右側のオレンジの囲み)。Online Verfügbar と緑色の字で出ているものが、在庫のある商品です。また、Lieferung というのが配送のことですので、緑の字の下に出ている日付が配送日の目安になります。
なお、洗濯乾燥機はドイツにもあります。お値段は洗濯機や乾燥機よりやや高くなりますが、一台で済ませることができる便利さがあります。ただし、乾燥機能の方が壊れたというご相談を2-3年に一度お受けします。たしかにギャランティーが通常2年、オプションで5年つけることができますが、修理にしても交換にしても数日から数週間かかりますので注意が必要です。
ドイツでの洗濯機の接続(よくある間違いにご注意!)
ここでは洗濯機のつなぎ方をお示ししておきます。オンラインで買うと接続サービスを選ぶことができますが、自分でとりつける場合はよく起きる間違いがありますので、その点についても以下にまとめてあります。
壁の部品がなくなっていないか
これは、オンライン注文の場合でも、自分でつける場合でも共通の問題です。まずは、ご自宅の接続口をご確認ください。
排水の方で、排水口の部品を前のテナントが誤って外して去ってしまっていることがあります。該当する部品は「象の鼻」のような形の、以下の写真のものです。ない場合は、ホームセンターや家電量販店で購入する必要があります。
以下に述べるオンライン注文で接続サービスを選んでも、業者が部品の予備をもっていることは期待できないので、事前に用意しておくべきです。
オンライン注文では接続サービスがある
上述のように MediaMarkt や Saturn のインターネットサイトで買う場合、30ユーロ(2023年上期現在)で接続サービスを選ぶ選択肢があります(以下の写真)。古い洗濯機があった場合にはその引取もしてくれます。
乾燥機も同様に接続と引取サービスがありますが、洗濯機の上に載せる場合は、間にはさむ台 (Zwischenbausatz/Verbindungsrahmen) を用意しておかないとやってくれないことがあるので注意が必要です。なお、乾燥機には上下水道管と接続することはありません(電源コンセントのみ)。
自分で洗濯機をとりつける場合によくある間違い
しかし、中古の洗濯機をもらい受けたりで、自分でつなぐことが多いのも事実です。そこで、よくある間違いを中心にご説明します。
(よくある間違い①)新品で買った場合は、裏にドラムの回転防止のストッパーがついています。これを外します。忘れることが多いですが、そうしますと試運転時に洗濯機が回りませんし、モーターに無用な負荷をかけてしまうとされています。
(給水の接続はカンタン)以下の写真のようにつなぎます。手できつく締めるだけでも水漏れなく使えるかもしれませんが、スパナなどで締めるとよいでしょう。その場合は部品が傷つかないように、布などで軽くカバーしてあげるとよさそうです。
(よくある間違い②)排水は金属のリングのような部品でパイプを締めなくてはなりません。そうでないと、洗濯中にホースが外れて相当な量の水漏れに見舞われることになります。水が下に漏れた場合には、大変な規模の補修工事が必要になりますので、くれぐれもご注意ください。(また、ドイツでは賠償責任保険と家財保険に入ることをお勧めしています)
ドイツの洗濯機・乾燥機の使い方(完全保存版)
とりつけが済んでも、ドイツの洗濯機・乾燥機の使い方がわからず戸惑う人も多いでしょう。ここでは、ドイツの洗濯機・乾燥機の使い方を解説します。まず、基本的な洗濯の流れはとてもシンプルです。
- 洗濯モード(Programm)を選び(ダイヤル式)、
- 水温(Temperatur)を設定して(ボタン式)、
- 洗剤を専用口に入れて、
- スタートボタン(Start)を押し、
- 終わったら、洗濯物を取り出し電源OFF(Aus) にする。
難しいと感じるところは、洗濯モードを選ぶ段階でしょう。
ドイツでは様々な洗濯モードがあります。ダイヤル式になっており、設定したいモードにダイヤルを合わせます。
洗濯モード :
- Funktionstextilien / Outdoor : 機能性衣類(スポーツウェアなどのアウトドア着)
- Imprägnieren : 防水加工のもの
- Hemden / Blusen : ワイシャツやブラウスなどのビジネス着
- Extra Fein / Super Fein / Feinwäsche : 非常に繊細な生地もの(おしゃれ着や下着など)
- Koch / Bunt : 丈夫な生地もの / 色もの(殺菌コース)
- Pflegeleicht : 手入れの楽なもの(普段着など)
- Extra Kurz 15 / Super 15 : 15分のお急ぎコース
- Baumwolle : コットン素材のもの
- Schnell / Mix : スピード洗浄 / いろいろな生地もの
- Fein / Seide : おしゃれ着 / シルク素材のもの
- Wolle / Handwäsche : ウールなどの手洗いが必要なもの
- NonStop 60min : 洗濯&乾燥1時間コース
- Eco 40-60 : エコモード40ー60℃(通常よりも時間を要する)
- Intensiv : 集中洗浄
- Spülen : すすぎ
- Schleudern : 脱水
- Abpumpen : 排水
水温設定と同じようにボタン式で、以下のようなオプションを追加設定することもできます。
- U/min(Umdrehungen per Minute): 脱水時の回転数(1分あたりの回転数を設定)
- Speed Perfect : お任せプログラム
- Eco Perfect : エコモード
- Vorwäsche : 予洗い
- Extra Spülen / Spülen Plus : 追加すすぎ
- Schonschleudern : ソフト脱水
- Knitter Schutz : 脱水時のしわ予防
残り時間は 「Fertig in」 の後(右側)に表示されます。
洗濯洗剤・柔軟剤を入れる場所(知っていそうで知らない知識)
機種にもよりますが、洗剤の専用口は3個に仕切られていることが多いです。
- Ⅰ. 予洗い用(Vorwäsche)汚れのひどいものを洗濯する時に利用します。
- Ⅱ. 本洗い用(Wäsche)カルゴン(Calgon)も入れられます。
- 花マーク. 柔軟剤用(Weichspüler)漂白剤なども入れられます。
無事に洗濯が済んだら、次は乾燥です。乾燥も基本的に流れは同じです。
- 乾燥モード(Programm)を選び、
- 温度(Trocken Grad)を設定して、
- スタートボタン(Start)を押し、
- 終わったら、洗濯物を取り出し電源OFF(Aus) にする。
乾燥機も様々なモードを選ぶことができます(こちらもダイヤル式)。
乾燥モード :
- Pflegeleicht : 手入れの楽なもの(普段着など)
- Schranktrocken : 直訳すると 「棚乾燥」。終わり次第そのまま棚にしまうことができるという意味。
- Schranktrocken+ : 厚手のもの、乾きにくいもの
- Bügeltrocken : 仕上げにアイロンがけするもの
- Hemden Business : ワイシャツなどのビジネス着
- Super 40 : 40分のお急ぎコース
- Wolle finish : ウール素材のもの
- Dessous : 下着などの繊細なもの
- Baumwolle : コットン素材のもの
- Outdoor : スポーツウェアなどのアウトドア着
- Handtücher : タオル類
- Mix : いろいろな生地のもの
- Warm : 温風
- Kalt : 冷風
その他にも、以下のようなオプションがあります(ボタン式)。
- Schontrocken : ソフト乾燥
- Knitter Schutz : 乾燥時のしわ予防
「Trocken Zeit」 には所要時間が表示されます。
このように、ドイツの洗濯機・乾燥機は、素材や好みに合わせてモードを選べるのが大きな特徴と言えるでしょう。
ドイツの洗濯機【水温の高さについて】
ドイツの洗濯機は、洗濯モードによって、およそ20℃から90℃まで水温設定が可能です。普段着やスポーツウェアなど皮脂汚れが目立つものは40℃、ウール素材のものは、縮んでしまうので30℃以下の冷水が最適と言われます。食器用の布巾やバスタオルなどのコットン素材の場合は、タグを見ると60℃と書いてあることが多く、殺菌消毒が必要です。実際に60℃以上で洗濯する人が多いようです。これはどういうことかというと、ドイツでは景観を守る目的で、洗濯物の外干し(一目にさらされる場所で干すこと)がタブーとされています。つまり、日本のような日光消毒ができないので、ドイツでは、シーツやタオル類を60℃以上の高温で洗うことで殺菌消毒しているのです。このように、水温を設定できるのもドイツの洗濯機の特徴です。
ただし、日本から持参してきた衣類を洗濯する場合は注意が必要です。まず、ドイツの水道水は硬水が使われています(詳細は別記事 「ドイツの水」 をご参照ください)。また、ドイツでの洗濯は基本的に長丁場となり、3時間近くかかるものもあります。長時間硬水に揉まれることになるので、軟水で洗濯することを前提として作られた日本の衣類は傷んでしまうことがあるのです。
ドイツの洗濯機の洗濯時間は “なぜ長い”
ドイツの洗濯機は、時短モードを選ばない限り、2時間以上かかる場合がほとんどです。なぜ、これほど時間がかかるのでしょうか。考えられる理由はいくつかあります。まず、90℃まで水温設定が可能ということは、洗濯自体とは別に、水を温める時間も必要となります。洗濯の所要時間には、この時間も加味されているのです。そして、欧州連合のエネルギー政策も影響しています。欧州では省エネの取り組みが進んでいて、人々の生活にも浸透しています。できる限り少ない水、少ないエネルギーで洗濯ができるよう、洗濯機もそのように設計されています。洗濯時間の短縮よりも、エネルギー消費量を減らすことに重点が置かれているのです。また、ドイツではドラム式(Front Loader)が主流ですが、縦型(Top Loader)と違い、ドラム式は洗濯物が浸水している部分とそうでない部分がどうしても出てきます。全ての部分が均等に洗えるようにという観点からも、洗濯時間が長めに設定されていると考えられています。
ドイツの洗濯機【脱水スピードについて】
ドイツの洗濯機では、脱水も素材や好みに応じて、回転スピードを変えることで調節可能です。機種にもよりますが、およそ600~1600回転のものが多い印象です。厚手のものをしっかり脱水したい場合は1200~1600回転が良いでしょう。繊細な生地のものやワイシャツなどは、傷みやすくシワにもなりやすいため、弱めに(1000回転以下に)設定した方が無難でしょう。脱水後の仕上がり具合は、メーカーや機種にもよるので、買い替える際は念頭に置いておくと良いかもしれません。
ドイツの洗濯機【カルキ対策と掃除方法】
ドイツの硬水地域では、カルキ(石灰分)の蓄積が家電に悪影響を与えやすく、特に洗濯機の内部に石灰が溜まると故障の原因にもなります。以下の方法で日常的にメンテナンスを行い、洗濯機を長持ちさせましょう。
1. 定期的な「カルゴン」の使用
カルゴン(Calgon)は、洗濯機内でのカルキの蓄積を防ぐために効果的な水軟化剤です。使い方はとても簡単で、洗濯洗剤と一緒に投入するだけです。カルゴンは洗剤と一緒に洗濯機の内部に広がり、洗濯のたびに少しずつ石灰を防止してくれます。特に、硬水地域に住んでいる方は毎回の洗濯での使用を推奨します。
2. ドラムの掃除
洗濯機のドラム内部には、カルキや洗剤の残留物が溜まりやすく、これが不快な臭いや故障の原因になることがあります。
お湯とクエン酸: ドラムに適量のクエン酸(ドラッグストアでクエン酸入りの洗濯機洗浄剤を購入可能)を入れ、60度以上の高温で空の状態で洗濯を1サイクル回します。クエン酸はカルキを分解し、ドラム内部を清潔に保ちます。
酢を使用: 酢もまたカルキを分解する効果があり、臭い対策にも役立ちます。クエン酸の代わりに酢を使用しても効果的です。
3. 排水フィルターの掃除
排水フィルターには糸くずや汚れが溜まりやすく、これが排水不良や異臭の原因になります。洗濯機の取扱説明書に従い、フィルターを取り外して掃除することを月に1回程度行うとよいでしょう。
4. 洗剤引き出しの清掃
洗剤引き出しも洗剤の残留物やカビが溜まりやすい部分です。洗剤引き出しを取り外し、水で洗い流しながらブラシで細かい部分を掃除します。こちらも定期的に行うと、洗濯機全体が清潔に保たれます。
5. ドアパッキンの手入れ
ドラムとドアの間にあるゴム製のパッキン部分には、洗濯物からの水分や汚れが溜まりやすく、これがカビの発生原因となります。使用後は乾いた布で拭き取るようにし、月に一度は水と中性洗剤で丁寧に清掃すると効果的です。
日常的な注意点
- • 洗濯後のドアは開けておく: 洗濯機を使い終わったらドアを少し開けておくことで、内部が乾燥し、カビの発生を防ぎます。
- • 適切な洗剤の量を守る: 洗剤の使い過ぎは残留物の蓄積やカルキの原因になります。使用量を守り、必要以上の洗剤を入れないようにしましょう。