ドイツの洗濯・徹底解説

ドイツでの洗濯機の接続(よくある間違いにご注意!)

まずは洗濯機のつなぎ方をお示ししておきます。オンラインで買うと接続サービスを選ぶことができます。自分でとりつける場合は同じ間違いがよくありますので、その点について以下にまとめてあります。

壁の部品がなくなっていないか

オンライン注文の場合でも、自分でつける場合でも共通の問題です。まずは、ご自宅の接続口をご確認ください。

排水の方で、排水口の部品を前のテナントが誤って外して去ってしまっていることがあります。該当する部品は「象の鼻」のような形の、以下の写真のものです。ない場合は、ホームセンターや家電量販店で購入する必要があります。

以下のオンライン注文でも、とりつけ業者が部品の予備をもっていることは期待できないので、事前に用意しておくべきです。

オンライン注文では接続サービスがある

洗濯機は MediaMarkt や Saturn のインターネットサイトで買うのがおすすめです。そうしますと、30ユーロ(2023年上期現在)で接続をしてくれます(以下の写真)。古い洗濯機があった場合にはその引取もしてくれます。

乾燥機も同様に接続と引取サービスがありますが、洗濯機の上に載せる場合は、間にはさむ台 (Zwischenbausatz/Verbindungsrahmen) を用意しておかないとやってくれないことがあるので注意が必要です。なお、乾燥機には上下水道管と接続することはありません(電源コンセントのみ)。

自分で洗濯機をとりつける場合

しかし、中古の洗濯機をもらい受けたりで、自分でつなぐことが多いのも事実です。そこで、よくある間違いを中心にご説明します。

(よくある間違い①)新品で買った場合は、裏にドラムの回転防止のストッパーがついています。これを外します。忘れることが多いですが、そうしますと試運転時に洗濯機が回りませんし、モーターに無用な負荷をかけてしまうとされています。

(給水の接続はカンタン)以下の写真のようにつなぎます。手できつく締めるだけでも水漏れなく使えるかもしれませんが、スパナなどで締めるとよいでしょう。その場合は部品が傷つかないように、布などで軽くカバーしてあげるとよさそうです。

(よくある間違い②)排水は金属のリングのような部品でパイプを締めなくてはなりません。そうでないと、洗濯中にホースが外れて相当な量の水漏れに見舞われることになります。水が下に漏れた場合には、大変な規模の補修工事が必要になりますので、くれぐれもご注意ください。(また、ドイツでは賠償責任保険と家財保険に入ることをお勧めしています)

ドイツの洗濯機・乾燥機の使い方(完全保存版)

とりつけが済んでも、ドイツの洗濯機・乾燥機の使い方がわからず戸惑う人も多いでしょう。ここでは、ドイツの洗濯機・乾燥機の使い方を解説します。まず、基本的な洗濯の流れはとてもシンプルです。

  1. 洗濯モード(Programm)を選び(ダイヤル式)、
  2. 水温(Temperatur)を設定して(ボタン式)、
  3. 洗剤を専用口に入れて、
  4. スタートボタン(Start)を押し、
  5. 終わったら、洗濯物を取り出し電源OFF(Aus) にする。

難しいと感じるところは、洗濯モードを選ぶ段階でしょう。

ドイツでは様々な洗濯モードがあります。ダイヤル式になっており、設定したいモードにダイヤルを合わせます。

洗濯機の翻訳サンプル 1

洗濯モード :

  • Funktionstextilien / Outdoor : 機能性衣類(スポーツウェアなどのアウトドア着)
  • Imprägnieren : 防水加工のもの
  • Hemden / Blusen : ワイシャツやブラウスなどのビジネス着
  • Extra Fein / Super Fein / Feinwäsche : 非常に繊細な生地もの(おしゃれ着や下着など)
  • Koch / Bunt : 丈夫な生地もの / 色もの(殺菌コース)
  • Pflegeleicht : 手入れの楽なもの(普段着など)
  • Extra Kurz 15 / Super 15 : 15分のお急ぎコース
  • Baumwolle : コットン素材のもの
  • Schnell / Mix : スピード洗浄 / いろいろな生地もの
  • Fein / Seide : おしゃれ着 / シルク素材のもの
  • Wolle / Handwäsche : ウールなどの手洗いが必要なもの
  • NonStop 60min : 洗濯&乾燥1時間コース
  • Eco 40-60 : エコモード40ー60℃(通常よりも時間を要する)
  • Intensiv : 集中洗浄
  • Spülen : すすぎ
  • Schleudern : 脱水
  • Abpumpen : 排水
洗濯機の翻訳サンプル 2

水温設定と同じようにボタン式で、以下のようなオプションを追加設定することもできます。

  • U/minUmdrehungen per Minute: 脱水時の回転数(1分あたりの回転数を設定)
  • Speed Perfect : お任せプログラム
  • Eco Perfect : エコモード
  • Vorwäsche : 予洗い
  • Extra Spülen / Spülen Plus : 追加すすぎ
  • Schonschleudern : ソフト脱水
  • Knitter Schutz : 脱水時のしわ予防

残り時間は 「Fertig in」 の後(右側)に表示されます。

洗濯洗剤・柔軟剤を入れる場所(知っていそうで知らない知識)

機種にもよりますが、洗剤の専用口は3個に仕切られていることが多いです。

  • Ⅰ. 予洗い用(Vorwäsche)汚れのひどいものを洗濯する時に利用します。
  • Ⅱ. 本洗い用(Wäsche)カルゴン(Calgon)も入れられます。
  • 花マーク. 柔軟剤用(Weichspüler)漂白剤なども入れられます。

無事に洗濯が済んだら、次は乾燥です。乾燥も基本的に流れは同じです。

  1. 乾燥モード(Programm)を選び、
  2. 温度(Trocken Grad)を設定して、
  3. スタートボタン(Start)を押し、
  4. 終わったら、洗濯物を取り出し電源OFF(Aus) にする。
乾燥機の翻訳サンプル

乾燥機も様々なモードを選ぶことができます(こちらもダイヤル式)。

乾燥モード :

  • Pflegeleicht : 手入れの楽なもの(普段着など)
  • Schranktrocken : 直訳すると 「棚乾燥」。終わり次第そのまま棚にしまうことができるという意味。
  • Schranktrocken+ : 厚手のもの、乾きにくいもの
  • Bügeltrocken : 仕上げにアイロンがけするもの
  • Hemden Business : ワイシャツなどのビジネス着
  • Super 40 : 40分のお急ぎコース
  • Wolle finish : ウール素材のもの
  • Dessous : 下着などの繊細なもの
  • Baumwolle : コットン素材のもの
  • Outdoor : スポーツウェアなどのアウトドア着
  • Handtücher : タオル類
  • Mix : いろいろな生地のもの
  • Warm : 温風
  • Kalt : 冷風

その他にも、以下のようなオプションがあります(ボタン式)。

  • Schontrocken : ソフト乾燥
  • Knitter Schutz : 乾燥時のしわ予防

Trocken Zeit」 には所要時間が表示されます。

このように、ドイツの洗濯機・乾燥機は、素材や好みに合わせてモードを選べるのが大きな特徴と言えるでしょう。

ドイツの洗濯機【水温の高さについて】

ドイツの洗濯機は、洗濯モードによって、およそ20℃から90℃まで水温設定が可能です。普段着やスポーツウェアなど皮脂汚れが目立つものは40℃、ウール素材のものは、縮んでしまうので30℃以下の冷水が最適と言われます。食器用の布巾やバスタオルなどのコットン素材の場合は、タグを見ると60℃と書いてあることが多く、殺菌消毒が必要です。実際に60℃以上で洗濯する人が多いようです。これはどういうことかというと、ドイツでは景観を守る目的で、洗濯物の外干し(一目にさらされる場所で干すこと)がタブーとされています。つまり、日本のような日光消毒ができないので、ドイツでは、シーツやタオル類を60℃以上の高温で洗うことで殺菌消毒しているのです。このように、水温を設定できるのもドイツの洗濯機の特徴です。

ただし、日本から持参してきた衣類を洗濯する場合は注意が必要です。まず、ドイツの水道水は硬水が使われています(詳細は別記事 「ドイツの水」 をご参照ください)。また、ドイツでの洗濯は基本的に長丁場となり、3時間近くかかるものもあります。長時間硬水に揉まれることになるので、軟水で洗濯することを前提として作られた日本の衣類は傷んでしまうことがあるのです。

ドイツの洗濯機の洗濯時間は “なぜ長い”

ドイツの洗濯機は、時短モードを選ばない限り、2時間以上かかる場合がほとんどです。なぜ、これほど時間がかかるのでしょうか。考えられる理由はいくつかあります。まず、90℃まで水温設定が可能ということは、洗濯自体とは別に、水を温める時間も必要となります。洗濯の所要時間には、この時間も加味されているのです。そして、欧州連合のエネルギー政策も影響しています。欧州では省エネの取り組みが進んでいて、人々の生活にも浸透しています。できる限り少ない水、少ないエネルギーで洗濯ができるよう、洗濯機もそのように設計されています。洗濯時間の短縮よりも、エネルギー消費量を減らすことに重点が置かれているのです。また、ドイツではドラム式(Front Loader)が主流ですが、縦型(Top Loader)と違い、ドラム式は洗濯物が浸水している部分とそうでない部分がどうしても出てきます。全ての部分が均等に洗えるようにという観点からも、洗濯時間が長めに設定されていると考えられています。

ドイツの洗濯機【脱水スピードについて

ドイツの洗濯機では、脱水も素材や好みに応じて、回転スピードを変えることで調節可能です。機種にもよりますが、およそ600~1600回転のものが多い印象です。厚手のものをしっかり脱水したい場合は1200~1600回転が良いでしょう。繊細な生地のものやワイシャツなどは、傷みやすくシワにもなりやすいため、弱めに(1000回転以下に)設定した方が無難でしょう。脱水後の仕上がり具合は、メーカーや機種にもよるので、買い替える際は念頭に置いておくと良いかもしれません。

ドイツの洗濯機 カルキ対策と掃除方法

高機能のドイツ製洗濯機も、日頃のメンテナンスを怠れば、突然動かなくなってしまうという事態も起きかねません。そこで、洗濯機のカルキ対策や掃除方法をご紹介します。

カルゴン(Calgon)とは…

カルゴン(Calgon)は、ドイツを含めヨーロッパでは、硬水対策の製品として有名です。水の軟化剤とも呼ばれ、硬水地域のドイツでも洗濯ドラム内にカルキが付着するのを防ぐために利用されています。洗濯洗剤と一緒にカルゴンも活用しましょう。

掃除方法

洗剤投入口
洗濯洗剤や柔軟剤はここから入れている人が多いと思いますが、残った洗剤によりカビが発生していることがあるので、定期的にポケットを外して水気をふき取ったり、汚れがひどい場合は、洗濯機専用クリーナーを混ぜたお湯につけ置きしたりするなど、綺麗な状態を保ちましょう。つけ置きには液体タイプのクリーナーがお勧めです。液体タイプの洗濯洗剤を使っている場合は、投入口からではなく直接ドラム内に入れることもカビ対策になります。

洗濯ドラム
日頃からカルゴン(Calgon)などを使ってカルキ対策をしていても、年に数回は洗濯槽を掃除するようにしましょう。洗濯槽クリーナーのみを入れ、60℃以上で空回しします。モードは 「Koch / Bunt」 や「Trommel Reinigen(ドラム内洗浄)」 というモードがあればそれに設定します。

排水口
多くの場合、洗濯機本体の下部にあります。蓋を開けたらホースを取り出し、溜まっている水を抜きます。中央部分はフィルターがはめ込まれているので、取り出してゴミを取り除きましょう。ここが詰まってしまうと排水ができなくなってしまいます。

日頃のカビ対策として、洗濯後は必ず、洗剤投入口と洗濯ドラムの扉の水気をふき取り、しばらく開けて乾燥させるようにしましょう。

ドイツの洗濯機・乾燥機 おすすめメーカー Miele 他

引っ越しを機に、新たに洗濯機の購入を検討している方もいるかもしれません。そこで、お勧めの家電メーカーを何社かご紹介します。

Miele(ミーレ)

ドイツの老舗・高級家電メーカーとして有名です。Miele製の洗濯機は、独自の技術により他メーカーと一線を画していると言えます。例えば、Mieleの洗濯ドラムは 「ハニカムドラム」 と呼ばれ、ドラム表面に立体的な加工が施されていて、ドラムと衣類との間に薄い水の膜を作ることで、衣類が擦れることなく優しく洗える工夫がされています。価格帯が800€~2,700€と高額ですが、良いものを長く使い続けられるようにという思いから20年間という耐用年数を保証しています。

Bosch(ボッシュ)

こちらも、ドイツの歴史ある総合家電メーカーとしてよく知られています。もとは、自動車機器のサプライヤーとして創業した企業ですが、1933年に家電市場に進出し、家電メーカーとしての地位を確立してきました。Bosch製の洗濯機には、衣類にスプレー状の洗浄液を吹きかけることで、頑固な汚れの衣類も繊維の奥まで洗浄するという 「4D Wash System」 という技術が採用されています。Bosch製の洗濯機も定評があります。

Siemens(ジーメンス)

ドイツを代表する世界的なテクノロジー企業として、知っているという人も多いでしょう。1847年に創業し、昨年175周年を迎えました。Siemensは信頼性の高い家電製品を取り揃えており、実際に 「Stiftung Warentest」 という様々な製品やサービスをテストする試験機関からも高評価を得ています。洗濯機については3機種が高ランクを記録しています。

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