ドイツでのゴミの分別・出し方

渡独して数か月は、新生活に慣れるのに苦労する方がほとんどだと思います。日本と勝手が違う異国での生活で戸惑うことも多いでしょう。特に最初は、住んでいる自治体のゴミ出しのルールがよくわからないという人も少なくありません。そこで、ドイツにおけるゴミ分別や捨て方についてお話していきます。

ゴミ分別・捨て方のルール

分別方法 主な種類

普通ゴミ・その他ゴミ(Restmüll)
一般家庭で必然的に発生するゴミ。日本における「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の区別はなく、紙ゴミ・再生資源ゴミ・生ゴミ以外の「その他ゴミ」という位置づけです。オムツや生理用品もここに含まれます。

生ゴミ(Biomüll)
食品の食べ残し、刈り取った芝や落ち葉など土に返るゴミ。自治体によっては普通ゴミと区別しない場合があります。

資源ゴミ・リサイクルゴミ(Wertstoffe)
プラスチック製、アルミ製、ビニール製、発泡スチロール製のものや牛乳パックなど。ドイツでは、商品パッケージや梱包材のリサイクルが義務付けられており、緑と白のリサイクルマーク(Der Grüne Punkt)が貼られているものなどが該当します。

紙(Papier)
不要になった雑誌や新聞、段ボールなど。デリバリーピザの箱やクッキングシートは普通ゴミとして出します。あくまで、汚れがひどくなくリサイクルできる紙類が対象となります。

デポジット対象外の瓶(Glas)
ジュース、ワイン、ジャム、ドレッシングなどの空き瓶。主に、透明(Weißglas)・緑(Grünglas)・茶色(Braunglas)の色別で回収されます。

デポジット対象のビン・缶・ペットボトル(Pfandflaschen)
次項でお示ししますリサイクルマーク(Einwegpfand-Symbol)やリユースマーク(Mehrwegpfand-Symbol)、あるいは 「Einweg-Pfand」 または 「Pfandglas」 などと書かれていれば、リサイクルまたはリユース対象となります。商品代金に容器代も含まれるので、回収に持っていくとその分返金されます(デポジット制度については次の項目をご覧ください)。

衣類(Kleider)
不要になった服などの布製品や服飾品が対象です。

電化製品(Elektromüll)
電化製品は原則として、市の集配場に持っていきます。ただし、電池ならばスーパーやドラッグストア、家電量販店で捨てることができます。また、洗濯機などを新しく購入する場合は、配達時に古いものを引き取ってもらうサービスをオプションで選ぶこともできます。

粗大ゴミ(Sperrmüll)
古くなったテーブルやベッドなどの家具類が該当します。一定量までの廃棄は無料ですが、あらかじめ自治体やゴミ収集業者に回収を予約しておく必要があります。

デポジット制度(Pfandsystem)について

ドイツでは、環境への配慮から廃棄物の削減を目指しています。そこで、リサイクル(資源に戻し再び製品化)やリユース(再利用)を促進しようと始まったのが、このデポジット制度です。デポジット対象の商品は、代金に容器代が含まれており、容器を回収に持っていくと、その容器代が返金されるという仕組みです。返金額は、そのままリユースできるものか、あるいはリサイクルに回すものかによって異なり、多くのペットボトルや缶はリサイクル対象となるので25セント。ビンはリユースできるものが多く、8~15セントとなります。リユースされるビンは最大50回まで再利用でき、およそ7年の寿命があります。回収後は洗浄され、再び商品として店頭に並びます。新しいボトルを製造するよりも、原材料の消費とCO2排出量が削減できるため、リサイクルよりもリユースの方が環境に優しいと言われています。

デポジットの回収場所

ほとんどのスーパーには、店内の入り口付近に回収機(Pfandautomaten)が置いてあります。専用の丸い穴があるので、そこに一個ずつ入れていき、バーコードを読み込ませます(注 : ペットボトルのラベルは剝がさないようにしましょう)。すべて入れ終わると、返金額が記載されたレシートが発行されます。それをレジに持っていくと、その金額分返金されます。または、ついでに買い物をする場合、会計時に返金額分の割引が受けられます。必ずしも、購入したスーパーに持っていかなければならないわけではなく、全国どの店舗でも問題ありません。もしお近くの店舗に回収機が無い場合は、レジの人がマニュアルで対応してくれることがあるので、店員に尋ねてみましょう。

覚えておきたいゴミ別マーク

リサイクルマーク(Einwegpfand-Symbol)
このマークが貼られているものは、リサイクルできるデポジット対象商品なので、お近くのスーパーなどに回収に持っていくと、容器代が返金されます。

リサイクルマーク(Der Grüne Punkt)
こちらのマークが貼られている場合は、普通のリサイクルゴミなので、捨てる時は黄色のリサイクルボックスに入れましょう。

リユースマーク(Mehrwegpfand-Symbol)
こちらのマークは、リユースできることを表します。デポジット対象になるので、回収に持っていきましょう。

ゴミ袋は指定のものがあるのか

結論から言うと、指定のゴミ袋はありません。スーパーやドラッグストアなどで市販されているゴミ袋を買っておくと良いでしょう。

資源ゴミ・リサイクルゴミについては、Gelber Sack と言われる黄色いビニールのゴミ袋が市から無料配布されることがありますが、昨今は見直しの動きがあるようです。

生ゴミ用に、生分解性プラスチック製のゴミ袋(Bio-Müllbeutel)もありますが、国として規制を強めているので、使用は避けた方が無難でしょう。水気のない生ゴミは、回収ボックスに直接捨てることも可能ですが、抵抗がある場合は紙袋などに入れて捨てましょう。

回収場所とゴミ箱の種類

ドイツでは、ゴミ回収は有料で行われています。回収費は回収ボックスの大きさによって異なってきます。アパートなどの集合住宅の場合は、共益費(管理費)に含まれていることがほとんどです。回収場所は鍵がかけられていることが多く、住人しか利用できないようになっています。一戸建てなど個人宅の場合は、個別に回収ボックスの設置を依頼し、回収費を負担する必要があります。

回収ボックスの種類は、街や地域により異なる場合がありますが、主に以下のように蓋やボックスの色によって区別されています。

  • 黒(Restabfalltonne: 普通ゴミ・その他ゴミ
  • 黄色(Verpackungstonne): 資源ゴミ・リサイクルゴミ 
  • 青または緑(Altpapiertonne: 紙類 
  • 緑または茶色(Bioabfall / Biotonne: 生ゴミ 

デポジット対象外の瓶の回収場所

デポジット対象外の瓶は、街中の回収コンテナに捨てます。通常、透明(Weißglas)・緑(Grünglas)・茶色(Braunglas)の色別に3個コンテナが設置されているので、該当の場所に入れましょう。蓋は一緒には捨てず外しておきます(蓋の捨てる場所は自治体により異なります)。

ここで注意したいのが、ドイツにある 「静寂時間(Ruhezeit)」 という、国民が静かに過ごす時間です。主に、平日は13時~15時と22時~翌朝7時、日曜祝日は終日、騒音を立ててはいけないというルールがあります。地域にもよりますが、この時間帯にまとめて瓶を捨てるのは避けた方が良いかもしれません。

回収頻度や時間帯について

ゴミ回収の頻度は自治体により異なりますが、1-2週間に一度というところが一般的です。もしお住まいの地域が、ゴミ回収カレンダー(Abfallkalender)というものを出していれば、事前に回収日を調べておくことができます。

また、お住まいの住居により、ゴミ出しができる時間帯が決まっている場合もあります。例えば、回収日前日の○○時~○○時の間はゴミ出ししても良いが、それ以外の日や時間帯は不可など。住居によっても、ルールがきっちり決められているところもあれば、寛容なところもあるので、管理人や隣人に確認しておくと良いでしょう。

もっとも集合住宅(マンション・アパート)では、ハウスマイスターと呼ばれる物件管理人がゴミ出しをしてくれますので、住民は24時間いつでもゴミ収集部屋 (Müllraum) に捨てることができます。ゴミ収集部屋は、通常は地下や屋外にあります。

ドイツのゴミ事情(近年の傾向)

ドイツは、世界的に見ても、環境意識が高いエコ先進国として知られていますが、年々廃棄物は増加傾向にあるため、国として本格的な法整備が進められています。実際に、2019年1月より、製造業者や流通業者向けに、商品の包装材削減とリサイクル促進に関する法律 「容器包装廃棄物法(Verpackungsgesetz)」 が施行されました。これは1992年より施行された 「包装廃棄物政令(Verpackungsverordnung)」 を強化するものです。商品を国内マーケットに流通させる最初の流通業者が、包装材の回収にも責任を負うことを定めたもので、製造業者だけではなく、輸入業者や通販業者も対象となります。この最初の流通業者は、国に届け出たのち、リサイクル業者と契約して、包装材回収の費用を負担する義務を負います。このような取り組みが功を奏し、2020年にはすでに、すべての包装材が目標としていたリサイクル率を達成しています。

さらに、ドイツでは近年、リサイクルよりもリユースに比重を置き、法改正を進めています。2023年1月には容器包装廃棄物法を改正し、持ち帰りサービスを行うレストランやカフェに対し、リユース可能な容器を顧客が選べるように義務づけました。

ドイツでは、今後も廃棄物の増加に歯止めをかけるべく、法整備・改正が行われていくと考えられます。

関連リンク

AK Mehrweg GbR – Mehrwegsystem

ドイツ連邦共和国環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)– Pfandflasche = Mehrwegflasche

JETRO – 商品のドイツ市場流通前に必要な手続き – ドイツの容器包装廃棄物法(前編)

JETRO – 法改正で段階的規制強化が進む – ドイツの容器包装廃棄物法(後編)