ドイツで賃貸契約を結ぶ際、避けて通れないのが敷金/保証金(Kaution)です。日本の感覚とは異なる「金融的な性質」や「返還のルール」について解説します。
1. 敷金(保証金)の相場と性質
敷金の額は、基礎家賃(Kaltmiete / cold rent)の3ヶ月分が法的上限であり、かつ標準的です。
- 性質: ドイツの敷金は、物件の補修費用というよりも、主に「借り手の支払い遅滞(家賃や共益費の未払い)」に対する担保(バッファー)としての金融的性質を強く持っています。
- 支払い方法: 銀行送金が一般的です。法律上、貸主は自身の資産とは別に専用口座で分別管理する義務がありますが、近年の低金利下では口座管理手数料により、返還時に元本をわずかに下回る(減価する)ケースもあり、実務上の議論の対象となっています。
2. 銀行送金以外の充当方法: バンクギャランティーと保証保険
- バンクギャランティー(Bankbürgschaft): 法人契約の場合、銀行が発行する支払い保証証書で代用できることがありますが、すべての貸主が受け付けるわけではありません。また、発行までに時間がかかるため、入居を急ぐ場合は注意が必要です。
- 敷金保証保険: 最近では、現金を預ける代わりに保険料を支払うことで敷金をカバーするサービスも普及し始めています。
3. 敷金(保証金)の返還と「現状復帰」の重要性
原則として、入居時と同じ状態に直す「現状復帰(Renovierung / Endreinigung)」を済ませて物件を返せば、敷金は満額返還されます。
- 例外的に満額返ってこない主なケース:
- 共益費の精算: 「共益費」についてのページでも触れた通り、精算は翌年以降になります。そのため、将来の不足分に備えて敷金の一部(通常 1000ユーロ未満)が精算終了まで留保されることが一般的です。
- 清掃費用: 家具付き物件などでは、契約書にあらかじめ「退去時清掃費用(数百ユーロ)」が明記されており、その分が差し引かれることがあります。
4. 【重要】補修を貸主任せにしない
ドイツでは、「補修や清掃を大家に任せて、かかった費用を敷金から引いてもらう」というやり方は一般的ではありません。
注意点: 貸主に任せてしまうと、必要以上の高額な修繕をされたり、高圧的な業者を入れられたりするリスクがあります。あくまで借主側が主導権を持ち、法律と慣習に則った範囲で「現状復帰」を自ら手配・完了させてから引き渡すのが、敷金を確実に守るための鉄則です。
5. 敷金(保証金)返還の時期
敷金の返還時期は、契約終了から半年後までが一般的な慣習となっています。これは、貸主が物件の隠れた瑕疵(ダメージ)を確認したり、未精算の費用を計算したりするために認められている期間です。